「実年齢そのままに、自分らしい芝居を心がけています」

川辺勇次郎は、元刑事という過去を持つ人物ですね。どのように役作りして演じてらっしゃいますか?

川辺は、昔は刑事をやってたんですが、田舎に帰ってクレーム対応の仕事をやらないかと声をかけられたんです。この仕事ではいろんな問題が起こるだろうから、刑事の勘を働かせながら仕事をしてるんですね。たとえば、ちょっと怖い人が出てきてイチャモンをつけるようなトラブルがあったときには、刑事だった川辺は活躍するでしょう。「きみ、ちょっと間違ってるぞ」と諭してやれたらいいなと思ってますけどね。

川辺は人生相談の達人ということですが、若林さんと川辺には共通する印象がありますね。

役を作り過ぎないで、わたくしの実年齢そのままに自然体で演じたほうがいいと思っています。やはり、この年になってくると、「この世の中、まるく生きたほうがいいんじゃないの。カリカリしたってしょうがないよ」と言いたくなるんですよ。電話をかけてきた人に対しても、「みんなで仲良く生きていこうよ」と答えてあげられたらいいなと思ってますけどね。でも、人生相談に答えるなんて、難しいですよ。人間なんて自分の頭のハエも追えないんだから、なかなか簡単にはいきません(笑)。わたくしも、できるだけ若い方の邪魔をしないように、静かに座っていようと思っております(笑)。

小泉さんをはじめ、若い俳優陣と共演した感想をお聞かせください。

ミムラ君も実に達者だし、小泉君も初めての主演とは思えないようなテンポというかリズムがありますよね。小泉君との共演は今回が初めてなんですが、彼には大変な力があることを知りました。芝居をし過ぎないでちゃんと演じられるというところは現代的ですし、たいしたものだと思いますよ。わたくしはやっぱり大芝居をしないと芝居をした気持ちにならないんですが、どうしてもクサくなるんです。だから、最初はみなさんの中に入ったときは、「ひとりだけちょっとおかしいぞ」と、とまどいましたよ。流れに無理に合わせようとして、ああでもないこうでもないと考えました。でも、今になってようやく、自分らしい芝居でいいんだと思えるようになったんです。

若林さんが考えるこのドラマのみどころを教えてください。

このドラマは、セリフ劇なんです。脚本を書いてらっしゃる中園さんのセリフの面白さですよね。そのセリフを雑に扱わないように、ひとつひとつを大事にしてかみしめながら演じられたらいいなって思ってるんです。演出も、たいへん丁寧ですよね。こういう作品というのは、流して撮ろうと思ったらいくらでも早く撮れるわけですが、丁寧に撮ろうと思ったらいくらでも丁寧に撮れる作品なんです。演出のお二人は、小さくて何でもないようなことを、丁寧に撮ろうとする熱心さがあります。だから面白いですし、見ていて楽しいと思いますよ。(了)