「主役が通用しなかったら、ドラマとして成り立たない」

いよいよドラマもフィナーレに近づいてきましたね。都倉渉役を演じた感想をお聞かせください。

まだ撮影に追われてる感じがしますから、撮り終わるっていう実感はないですね。でも、初めて主演してみて、今まで感じなかったことを感じました。やっぱり、主役が通用しなかったら、ドラマとして成り立たないんです。主役がダメだったらすべてがダメになっちゃいますからね。だから、都倉をどうやって演じていくべきかについては、すごく突き詰めて考えました。リリーフのピッチャーと先発完投のピッチャーでは考え方が違うように、主演に臨む気持ちはやっぱり違いますよね。

演じていく中で、役作りに変化はありましたか?

最初は、都倉渉が徐々に階段を上がっていくように成長してくのかと思ったんですけど、第1話、第2話、第3話って演じていくと、成長してるようでしていなかったりで(笑)、その浮き沈みが非常に面白かったんですよね。お客様に失礼なこと言ったりするし、どうしようもなくだらしないところもあるけど、その逆でちゃんと誠意を持って対応するところもある。けっこう幅が広い役なんですよ。だったら、キャラクターを突き詰め過ぎるよりも、都倉はこういう感じだなって大きく捉えたほうが、全体が引き締まると思ったんです。シリアスな社会派ドラマなら、キャラクターから脱線しないように、もっと緻密に計算して演じます。だけど、今回のドラマはコメディ色が強いし、身近な人に感想を聞いても、十人が十人、面白いねって感想だったんです。それで、「キャラクターを突き詰めて考え過ぎると、芝居が小さくなってしまって、見てる人もつまらなくなるな」て思ったんです。だから、都倉という人間をすべて把握した上で、なるべくそれを忘れるようにして、その瞬間瞬間に何が大事なのかをつかむようにこころがけました。

印象に残っているシーンやセリフがあれば、教えてください。

意外なんですけど、自分のセリフよりも、人から言われたセリフのほうがよく覚えてたりするんですよね。第1話で、若林豪さん演じる川辺さんに言われたセリフは印象に残ってますね。防波堤に僕がひとりぽつんと座っていて、そこに川辺さんがやってきて、「ここの仕事、そんなにいやか」って聞くシーンです。僕が、「はい」って答えると、「でも、みんな必死でその仕事にしがみついてるんだ。あんたの会社がこのコールセンターを作ってくれたおかげで、みんなここで生きていける」って川辺さんが言う。それは、やっぱり心の叫びですよね。これは、本社の人間にはわからない気持ちというか、コールセンターのみんなの気持ちを川辺さんが代弁しているセリフで、すごく印象深いです。視聴者も、ああいうシーンにはすごく入り込めるんですよね。しかも、ああいうベテランの方が言ってくれると重みもあるから。

コールセンターの面々も個性的な俳優陣ばかりでしたね。

いやあ、面白いですよ。あんなに小さいセットの中で、朝から晩まで連日撮影すれば、ダレたりとか飽きたりするんじゃないかって心配だったんですけど、そんなことまったくないですからね。若林豪さんも、ここ何十年の中で一番面白いドラマだって言ってくれてますし、みんな、モチベーションが下がっていない。そこは、すごいなって思います。

青山響子役のミムラさんとの共演の感想はいかがでしょうか?

最初は、アオキョーはヴェールに包まれた感じで心が見えなかったけど、徐々にその心が見えてくるところに、ちょっと女っぽさやかわいらしさを感じました。それが連続ドラマ特有の面白さですね。だんだん距離が近づいてくるのは、演じていてもうれしいです。アオキョーも、最初は渉を認めてくれなかったけど、徐々に一人の人間として認めてくれてるのがわかりますからね。

南極アイス役の名取裕子さんとの共演の感想はいかがでしょうか?

南極アイスさんとは、電話の声でのやりとりばっかりなんですよ(笑)。でも、最初は、ただただ怖いと思って、とにかくゴマすってお世辞言って取り入ろうとしていたのが、後半にかけて、お互い仕事仲間として話せるようになった気がします。年は違うけれども、社会人同士のぶつかり合いができるようになったのは、一番変わってきたところですよね。

番組では勝浦でのロケも多かったですね。さまざまなシーンがありましたが、何か記憶に残っている風景やエピソードはありますか?

やっぱり、ロケっていうのはすごく印象に残ってますね。特に、海の風景は、本社との対比にもなっていて、よかったですよね。ポツーンと漁港の中に立つ電話ボックスとかも、好きでした。印象に残ってるシーンはいっぱいありますけど、海岸でアオキョーに叩かれたのはよく覚えてます(笑)。このシーンは、コールセンターのみんなと初めてのロケだったんです。やっぱり、こういう海の画は、夏のドラマには欠かせないですね。

来週はいよいよ最終回ですね。みどころを教えてください。

今までいろんな事件もあったし、途中経過をずっと見守ってくれてきた人には、やっぱり、ラストシーンは気になると思います。都倉は本社に戻るのか? それとも、コールセンターに残るのか? いなくなったアオキョーは帰ってくるのか? 帰ってこないのか?
アオキョーと都倉はどうなっていくのか? 『コールセンターの恋人』はどう完結するのか? 楽しみにしてください。(了)